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AI議事録に任せきると失うもの|お客様の信頼と整理力の話

これは弊社(フローリー)の社員向けに書いた内容ですが、所長先生にもお役立ていただけるかなと思って、ブログでも公開させていただきます。

弊社では、社内向けに発信している内容と、外向けの発信を、あまり分ける気がないんですね。

「これは外に出してもまったく問題ない」と思える話は、どんどん公開していこうと考えています。

社員のみんなに伝えていることって、結局、お客様である会計事務所の所長先生方にも、ヒントになる場面があるんじゃないかと思うんですよ。

目次

今回のテーマ:AI時代に、自分で議事録を書く意味はあるのか

最近、本当によく聞かれます。

うちの社員からも。 お客様(会計事務所の所長先生)からも。

「生成AIが議事録を書いてくれる時代に、もう自分で議事録を書く必要なんて、ないですよね?」と。

弊社は会計事務所さんのAI活用支援もしている会社なので、「AI使おうぜ」というスタンスは前提です。 便利なものは使い倒した方がいい。 当たり前です。

ただ、その上で、私はこう思っています。

【結論】

議事録は、絶対に自分で書いた方がいい。 できる限り、自分のPC入力で書くべき。 現時点では、です。

「え、AI推進してる会社の代表が、それを言うの?」と思われるかもしれません。

でも、これがいま私が本気で思っていることなんです。

理由は、大きく2つあります。

順番にお話しします。

理由①:AIが作った議事録は、まだ「鵜呑み」にできないから

ひとつめの理由は、シンプルです。

いま現時点の生成AIの精度では、議事録を100%信用するのが、まだ難しいんですよ。

何が起きるかというと、こんなことです。

  • 重要な論点が抜け落ちている
  • 決定事項のニュアンスが微妙にズレている
  • 数字や専門用語に誤植が混じる
  • 「誰が」「何を」言ったかが、混ざる

弊社が会計事務所さん向けの業務管理ツール「FLOW」を提供しているので、
特に顕著に感じる話なんですが、業務管理の運用ルールって、
ものすごく細かい合意の積み重ねでできているんです。

「この工程は誰が担当するか」
「この時点で、何を確認するか」
「この場合は、誰のジャッジが必要か」

こういう細かいルールが、議事録の中に「決定事項」として残っていきます。

ここがズレたら、運用が壊れます。

そしてここ、最新で最高グレードのAIを使っても、
誤植や論点抜けが普通に出るんですよ。 体感としても、ちゃんと出ます。

「あ、これ間違ってるじゃん」と気づける人が、ちゃんと一人いるか

ここが、いちばんの分かれ目だと思っています。

AI議事録って、なんとなくそれっぽい文章が出てくるんですね。
文章としては、整っているんです。 読みやすくもあります。

でも、よく読むと、決定事項の言い回しが微妙に違っていたり、本来必要な論点が抜けていたりする。

これを「お客様にそのまま送ってしまう」というのが、いちばん危ない。

お客様が、間違った議事録を見て、それを正だと思って動き始めてしまったら、
その時点で運用が一段おかしくなります。 あとから巻き戻すのは、本当に大変です。

だから、自分が議事録を書く・自分が中身を理解している、
という状態をちゃんと保ってほしいんです。

「AIが出してきた議事録を、自分の頭で『あ、ここ違うな』と気づける状態」

これが、いまの時代のゴールだと思っています。

理由②:会話を整理するスキルは、商談・サポートの場で効くから

もうひとつの理由は、もっと前向きな話です。

商談やサポートを進めるなかで、
その場で会話を整理するスキルって、ものすごく効くんですよ。

論理構造を理解する力。 お客様の状況を、
その場で頭の中で組み立てる力。 決定事項を、流れの中で正確に拾う力。

これって、議事録を「自分で書く」というプロセスを通じてしか、鍛えられないんですね。

保険営業の方の「ペン」と同じ役割

たとえば、保険営業の方が、目の前のお客様にパンフレットを広げて、
ペンで線を引きながら説明していくシーンを思い浮かべてみてください。

あれって、ものすごく上手だなと思うんですよ。

なぜ上手かというと、ペンを動かすことで、
お客様が「いま自分は何の話を聞いているのか」を視覚的に整理できているからなんですね。

議事録も、まったく同じです。

お客様との打ち合わせで、
目の前でこちらが議事録を書きながら進めると、こうなります。

「いま、この論点を話していますね」
「いま、ここが決定事項として残りましたね」
「次は、この点を確認していきますね」

これが、お客様の目の前で、見えるんです。

つまり、お客様も、自分の頭の中を一緒に整理できるんですよ。

これって、AIに「あとで自動で議事録を作ってもらう」のとは、根本的に違う体験なんです。

商談中・サポート中の、その場の温度感を伴った整理。
これは、いまのAI議事録ではどうやっても再現できない部分です。

「いま、ここを決めましたよね」と、その場で言える人になる

決定事項を、会話の流れの中で確認しながらメモしていく、という所作。

これができる人と、できない人で、商談やサポートの質は、ぜんぜん変わります。

「あの時、お客様と合意したはずなのに、なぜか後で齟齬が出る」
「議事録を見直すと、自分が記憶していた合意と、文書が違う」

こういうこと、AI議事録に任せきりにすると、めちゃくちゃ起きやすくなるんです。

逆に、自分でその場で書いていると、
「あれ、いまの言い方だと解釈がブレるな」と気づける瞬間が、必ずあるんですよ。

その瞬間に、「すみません、念のため確認させてください。
これって、こういう理解で合っていますか?」と聞ける。

このひと手間が、後の運用品質を、ぜんぜん違うものにします。

音声入力やAI議事録は、「補助」としては全然OK

ここまで読んで、「じゃあAI議事録は一切使うなってこと?」と思われたかもしれません。

そうではありません。

音声入力やAI議事録ツールは、補助としては、全然OKだと思っています。

たとえば、こういう使い方はアリです。

  • Web会議で、会話を文字起こしツールに通しておく
  • 自分のメモは、別途、手で取る
  • 後で、文字起こしデータと自分のメモを突き合わせて、抜け漏れがないかを確認する
  • 最終的にお客様に送る議事録は、自分で校正・編集して仕上げる

これ、めちゃくちゃ良い使い方だと思います。

ただ、注意してほしい使い方が、これです。

「もうAI議事録に任せきりだから、自分はメモを取らない」

これは、やめてほしいんです。 これだけは、本気でやめてほしい。

「手で打った方が早い」場面の方が、実は多い

私が個人的に思っているのは、
Zoomで話しながら別途AI議事録ツールを起動して、
後でその出力を確認して、修正して……というプロセスを踏むくらいなら、
その場でブラインドタッチで手入力した方が早い場面が、意外と多いんですよ。

これは、私が手入力を鍛えてきたからというのも、もちろんあります。 私自身、ずっと鍛え続けてきました。

でも、社員のみんなに伝えたいのは、これはスキルなんだということなんですね。

最初は、話しながら手で打つって、絶対に無理なんですよ。

ちょうど、自転車に最初に乗ったときと同じです。

最初は片手放しなんてできない。 走りながら隣の人と会話するなんて、もっと無理。

でも、慣れてくると、両手放しで走れるようになるし、走りながら普通に話せるようになる。

議事録の手入力も、まったく同じだと思っています。

最初の数ヶ月は、本当にしんどい。
でも、ある時を境に、急に「あ、できるようになってきた」という瞬間が来ます。

そこまでは、地道に鍛えてほしいんです。

議事録を取るスキルは、AI時代でも「無くならない」

ここが、社員のみんなにいちばん伝えたいところです。

AIがどれだけ進化しても、
「自分の手と頭で議事録を取れる人材」の価値は、
無くならないと思っています。

なぜか。

お客様の思考を、その場で整理する。
決定事項を、その場でメモする。 論理構造を、頭の中で組み立てる。

これって、いつ何時も必要な技術だからです。

会議室で。 お客様の事務所で。
コワーキングスペースで。 立ち話の延長で。 ちょっとした打ち合わせで。

「音声を全部録音できる環境じゃない」場面って、
思っている以上に、たくさんあるんですよ。

そこで
「あ、すいません、ちょっとAIツール起動するんでお待ちください」とは、
ならないわけです。

その場で、お客様の話を聞きながら、
こちらは整理して、決まったことを書き留めていく。

これができる人が、強い。 これからもずっと、強い。

不慣れでもいい。いまから鍛え始めてほしい

うちの社員のみんなに伝えたいのは、これです。

「いまAI議事録を使うこと自体は、全然OK」
「ただし、自分の手で、必要なことを書ける技術も、並行して鍛えてほしい」

これは、両立する話なんですね。

AIを使いこなすこと。 自分の手と頭を鍛え続けること。

両方とも、止めずに続けてほしいです。

得意・不得意は、最初はみんなあります。
私だって、最初から速く打てたわけじゃない。
鍛えてきたから、いまそれなりに使える、というだけの話です。

所長先生方へ:これは職員さんへの「投資」の話でもあります

ここまで、社員向けの記事として書いてきましたが、
最後に、これを読んでくださっている所長先生にも、一言お伝えさせてください。

「AIがあるんだから、もう若手はそんなにスキル要らないでしょ」
というのは、たぶん、違うんです。

むしろ、AIが当たり前に使える時代だからこそ、
その出力を「正しく評価できる人」「正しく修正できる人」
「お客様の前で正しく整理できる人」の価値が、相対的に上がっていきます。

事務所として、職員さんに何を鍛えさせるか。
ここは、AI時代になっても、変わらない論点だと思っています。

「議事録なんてもうAIでいいよ」は、若手の伸び代を削るかもしれない

「議事録を取るなんて、もうAIでいいでしょ」と職員さんに言ってしまうと、
若手の整理力は、永遠に育たないかもしれません。

整理力って、議事録を取る経験を通じてしか、なかなか鍛えられないんですよ。

「いま、お客様は何の話をしているか」
「いま、どこが論点で、どこが確認事項か」
「いま、何が決まって、何が宿題で残ったか」

これを、その場で、自分の頭の中で動かしながら、手で書き留めていく。
この訓練を、若手のうちにちゃんと積んだか・積まなかったかで、
5年後の対応力が、本当に変わります。

逆に、「AIの出力を正としつつ、自分でも書ける状態を作ろうね」
と所長先生から促してあげると、職員さんの整理力・対人スキルは、ぐっと伸びていきます。

事務所の競争力って、最終的にはこのあたりに効いてくるんじゃないかなと思っています。

まとめ:AIは使う。でも、自分の手も使う

最後にまとめます。

  • 生成AIが議事録を書いてくれる時代でも、自分で議事録を書くスキルは絶対に必要
  • 理由①:AI議事録は、現時点では「鵜呑み」にできない(誤植・論点抜けがある)
  • 理由②:会話を整理するスキルは、商談・サポートの場で効く
  • 音声入力やAI議事録ツールは、「補助」としては全然OK
  • ただし「任せきり」はNG。自分の手と頭は鍛え続ける
  • このスキルは、AI時代になっても無くならない

これは弊社の社員向けに発信した内容ですが、
所長先生方の事務所運営にも、なにかしらのヒントになれば嬉しいです。

職員さんの整理力を、AIに代替させてしまうのか。
それとも、AIと併用しながら、人の整理力もちゃんと育てていくのか。

ここの選択は、これからの事務所運営に、じわじわ効いてくる論点だと思っています。

今日も良い一日を!

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