会計事務所の議事録を徹底活用する。Notta×Claudeで作る「記録→再現」の仕組み【2026年4月版】

先日、ある所長先生からこんな相談を受けました。
「面談が終わると、何となく疲れてしまって、議事録ってほとんど作れていないんですよね。あとから思い出して書こうとしても、細かい話はもう忘れていて。」
おそらく、同じことを感じている先生は多いと思います。
面談中は必死でメモを取ったり、頭の中で整理しながら話を聞いたりしている。 でも終わった後に、きちんとした記録が残っているかというと…… 手元にあるのはメモ書きが数行、あるいは何もない、というケースも少なくありません。
これ、実は非常にもったいない状態です。
お客様との面談は、事務所にとって最もリアルで、最も価値のある情報が集まる場所です。 そこで何が語られ、何が課題で、何を求めているか。 それが記録されずに消えていくとすれば、資産を毎回捨てているようなものです。
今日は「議事録の徹底活用」というテーマで、 私が実際に組み立てている仕組みをお話しします。
ツールの話も出てきますが、単なるツール紹介ではありません。 「なぜその構成にしたのか」「どこにトレードオフがあるのか」も含めて、 正直にお伝えします。
〜〜〜〜
そもそも「議事録」は何のために作るのか

話を進める前に、少し立ち止まって考えてほしいことがあります。
議事録を作る目的は何でしょうか?
「記録のため」と答える方が多いと思います。 もちろんそれは正しい。
でも私が考える議事録の本当の価値は、記録ではなく再現にあると思っています。
どういうことか。
記録だけが目的なら、面談のメモが残っていれば十分です。
でもそれを「再現」に使おうとすると、話が変わってきます。
たとえば、
- 同じ課題を持つ別のお客様への提案に活かせるか
- 職員が担当を引き継いだときに、同じ品質で対応できるか
- 過去の面談を振り返って、自分の提案がどう進化してきたかを確認できるか
こういった「再現」が可能になって初めて、議事録は事務所の資産になります。
「書いて終わり」ではなく、「書いたものが活きる」状態を作ること。
これが今日お伝えしたいことの根幹です。
〜〜〜〜
議事録が「資産」になっていない事務所の共通点
多くの事務所を見てきた中で、議事録が活用されていない事務所には いくつかの共通点があります。
① そもそも記録されていない
面談後に作る時間がなく、記憶だけで次のアクションに移ってしまう。
「あのとき何を話したっけ」という状態が常態化している。
② 記録されているが、形式がバラバラ
担当者によってメモの書き方が違う。
Wordで作る人もいれば、手書きの人もいる、チャットに残す人もいる。
情報がどこにあるかわからないため、誰も参照しなくなる。
③ 記録されているが、活用されていない
議事録フォルダに入っているが、「書いて満足」で終わっている。
次の面談で前回の記録を確認する習慣がなく、同じ話を何度もしてしまう。
④ 担当者だけが持っている
ベテランスタッフの頭の中に「あの先生はこういう方」という情報はある。
でもそれが共有されていないため、引き継ぎや担当変更のたびにゼロからの関係構築が必要になる。
これらは全部、個人の問題ではありません。
仕組みがないから起きている構造の問題です。
裏を返せば、仕組みを作れば解決できます。
〜〜〜〜
私が使っている3層構造の全体像

私が組み立てた仕組みは、大きく3つの層に分かれています。
| 層 | ツール | 役割 |
|---|---|---|
| 第1層 | Notta(ノッタ) | 音声をテキストに変換する |
| 第2層 | Claude(クロード) | テキストを複数の形に加工・出力する |
| 第3層 | Obsidian(オブシディアン) | 情報をMarkdown形式で蓄積・整理する |
「話したこと → 整理された記録 → 蓄積された知識」という流れです。
ただ正直に言うと、この3つ全部を今すぐ揃える必要はありません。
まずClaudeだけ、あるいはNotta+Claudeだけでも十分な効果が出ます。
Obsidianは「情報をAIで再活用したくなったとき」に考えればいい話です。
順番に説明します。
〜〜〜〜
第1層:Notta(文字起こし)の話

文字起こしツールはすでにたくさんある
「文字起こし」と聞くと、すでに使っているサービスがある方も多いと思います。
ZoomにもGoogle Meetにも、標準で文字起こし機能がついています。
他にもTLDV、Fireflies、Otter.aiなど、選択肢はたくさんあります。
そのなかで私がNottaを選んでいる理由と、 正直なデメリットもあわせてお伝えします。
Nottaを選んでいる理由
① 文字起こしの精度が高い
Nottaは辞書登録機能があります。
「チャージ率」「月次監査」「製販分離」「記帳代行」といった
会計業界特有の専門用語を事前に登録しておくと、 誤変換が大幅に減ります。
一般的な音声認識エンジンは「チャージ率」を「遮断率」と誤変換したりします。
辞書登録ができるかどうかは、業界特化ツールとして使う上で重要なポイントです。
② 専用ボイスレコーダーと組み合わせられる
私は2万円ほどの持ち運び用ボイスレコーダーを使っています。
スマートフォンでも録音できますが、専用機材の方がノイズキャンセルの性能が段違いです。
対面での面談、複数人が話す場面でも、
発言者の音をしっかり拾えるかどうかが 議事録の品質に直結します。
③ ZoomにNottaを「自動同席」させられる
私はオンライン面談のツールとしてZoomを使っています。
Google Meetではなくあえてこちらを選んでいる理由は3つです。
ひとつはノイズキャンセルの性能。
複数人が話す場面や、少しざわついた環境でも、Zoomの方が音声品質が安定しています。
もうひとつはアプリの安定性。
頻繁に面談を行う中で、接続が途切れたり動作が重くなったりするリスクを減らしたい。
この点もZoomに分があると判断しています。
ただし、ZoomにもデフォルトでAI文字起こし機能はあります。
これが「ちょっと精度的に物足りない」というのが正直なところです。
そこでNottaをZoomに自動同席させています。
NottaはGoogleカレンダーと連携しておくと、
カレンダーにZoomのURLが登録されている会議に自動で参加して 文字起こしを始めてくれます。
ZoomのURLでもGoogle MeetのURLでも、
カレンダーにURLが設定されていれば同様に機能します。
「会議が始まりそうだからNottaを起動して……」という手動操作が不要で、
スケジュールに入っていれば自動でボットが参加してくれます。
Zoomの音声品質の高さとNottaの文字起こし精度を組み合わせつつ、
起動の手間もなくなる。この組み合わせが今のところ一番使いやすいと感じています。
Nottaの正直なデメリット
ここは隠さずにお伝えします。
一括ダウンロードが10件単位でしかできません。
大量の録音データをまとめてAIに読み込ませたい場合、
手作業での仕分けが必要になります。 完全自動化の観点では、まだ課題があります。
AIとの自動連携精度がまだ低い
Nottaで文字起こしした内容を自動でClaudeに送る、
といった シームレスな連携は現時点ではかなり難しいです。
結局「テキストをコピーしてClaudeに貼り付ける」という手作業が発生します。
〜〜〜〜
「システム上の問題」はどのツールにもある、というロジック
「NottaはZoomに同席させればいいなら、最初からZoomの文字起こしでいいのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
でも正直に言うと、どのツールにも同じ種類の限界があります。
たとえばGoogle Meetの文字起こしデータは、
録音が終わるとマイドライブ(個人のGoogleドライブ)に保存されます。
ここに落とし穴があります。
チームで共有している共有ドライブには入らないのです。
つまり、担当者が退職したときや担当変更があったとき、
「あの人のマイドライブに議事録が入っているけど、誰もアクセスできない」
という事態が起きます。
組織で使うことを前提にすると、
この「個人のドライブに入る」設計は大きなリスクです。
Zoomも同様で、文字起こしデータをどこに保存して、
誰がアクセスできて、 どうClaudeに渡すか、という設計を自分で作らないといけません。
つまり「この一つのツールで全部解決する」という魔法はありません。
どのツールを選んでも、「どこかの工程を人間が補う」部分は残ります。
だとすれば、選ぶ基準は「完璧なツールを探すこと」ではなく、
- 文字起こしの品質がどれだけ高いか
- 加工しやすい形でデータが出てくるか
- 組織として運用できるルールが作れるか
この3点で判断する方が現実的です。
その観点で私はNotta+Zoomの組み合わせを選んでいますが、
これは2026年4月時点での判断であり、今後変わる可能性もあります。
大事なのはツール名ではなく、
「音声→テキスト→加工→蓄積」
という流れを設計できているかどうかです。
〜〜〜〜
第2層:Claude(4つのアウトプット)

Claudeとは何か
Claudeは、Anthropicというアメリカの会社が開発したAIです。
ChatGPTと並んで世界的に使われている生成AIのひとつで、
長い文章の読み込みと、構造化された出力が得意です。
私が使い始めて1年以上になりますが、
今はMAXプランという最上位プランを利用しています。
Claudeを選んでいる主な理由は2つです。
① 長い文章をそのまま読み込める
面談の文字起こしは、長いと1万文字を超えることもあります。
Claudeは非常に長いテキストを一度に読み込んで処理できるため、
「文字起こし全文を貼り付けて議事録にして」という使い方が自然にできます。
② プロジェクト機能で「前提情報」を登録できる
Claudeには「プロジェクト」という機能があります。
簡単に言うと、「この人に話すときは、この情報を前提にして」という
背景情報を事前に登録しておける機能です。
私の場合、次のようなものを登録しています。
- 大須賀清隆のプロフィール・事業概要
- フローリーのサービス説明
- 議事録のフォーマット(社内向け・顧客向け)
- よく使う言葉・表現のルール
これを登録しておくと、毎回ゼロから説明する必要がなく、 アウトプットの品質が安定します。
会計事務所の先生であれば、
- 事務所の概要・提供サービス
- 顧客属性のパターン(業種・規模など)
- 報告書の文体・フォーマット
こういったものを登録しておくだけで、すぐに使える精度になります。
Claudeで出力している4つのもの
文字起こしのテキストをClaudeに渡すと、私は4種類のアウトプットを作っています。
① 文字起こし補正版
音声の文字起こしには、どうしても誤変換や言い間違い、
話し言葉特有の不自然さが残ります。
まずこれをClaudeに読み込ませて、意味が通じる文章に整えます。
これをベースに、②③④を作っていきます。
② 社内向け議事録
自分や社内メンバーが確認するための記録です。
「何を話したか」「決まったことは何か」「次のアクションは何か」を 箇条書きで整理します。
読み返したときに、面談の流れが再現できるレベルを目指します。
③ お客様向け面談報告書
クライアントに提出する議事録です。
社内向けとは文体・内容を変え、
「お客様が読んで、自分たちの課題と次のステップが理解できる」形に加工します。
これを毎回渡すだけで、顧客との信頼関係が変わります。
「ちゃんと聞いてくれている」「記録してくれている」という安心感は、
長期的な顧問関係の基盤になります。
④ インサイトメモ(気づきの記録)
これが実は一番価値があると感じているアウトプットです。
面談の中で「これ他の事務所にも展開できる」「このニーズは共通だ」と
思ったことをClaudeが拾い出してくれます。
私が面談中に話しながら気づかなかったポイントを、
Claudeが「これは重要なポイントではないですか」と提示してくることもあります。
このインサイトメモは、
社内マニュアルの改善ネタになったり、
ブログのテーマになったり、セミナーコンテンツの素材になったりします。
面談という「一回限りの情報」が、
複数の場所で再活用できる資産になるのです。
なお、面談の種類によってアウトプットの組み合わせは変わります。
たとえば私の場合、
代表とマネージャーが集まる社内ミーティングのときは、
顧客向け議事録を2種類用意することがあります。
「代表が確認する用」と「マネージャーが持ち帰る用」で、
強調したいポイントや粒度が異なるからです。
面談の目的と参加者に合わせて、アウトプットの種類を設計するのがポイントです。
〜〜〜〜
自動化と品質のバランスをどう考えるか
「AIを使えば全部自動化できる」というイメージがありますが、 現実はそうではありません。
現時点(2026年4月)での私の判断を正直にお伝えします。
自動化できること・できないこと
| 項目 | 現状 |
|---|---|
| 音声→文字起こし | ほぼ自動(Notta) |
| 文字起こし→議事録4種 | 半自動(貼り付けと確認は必要) |
| 議事録→保存・整理 | 手動(ファイル命名・フォルダ整理) |
| 複数議事録を横断した分析 | 手動(今後の課題) |
現状、「音声を入れたら議事録が全部できて自動保存される」という 完全自動化は、
私のレベルではまだ実現していません。
何かしらの手作業が残ります。
完全自動化を試みて失敗した話
余談ですが、私自身も「完全自動化」を試みて失敗した経験があります。
Nottaは先述の通り、データを一括ダウンロードするときに10件単位の制限があります。
「じゃあClaudeにブラウザを操作させて、
自動でダウンロード・ファイル名変更・整理まで全部やらせよう」
と試みたことがありました。
結果は、うまくいきませんでした。
ClaudeはテキストのやりとりやAIとしての処理は非常に得意ですが、
ウェブブラウザを直接操作するような「ロボット的な動き」はまだ苦手な部分があります。
特にNottaはUIの設計上、外部ツールとの自動連携がしにくく、
Claudeからブラウザ経由で操作しようとしても思うように動きませんでした。
これはClaudeの問題というよりも、NottaのUI・連携設計の問題でもあります。
どれだけ優秀なAIでも、連携先のツールが対応していなければ自動化はできません。
「AIを入れれば全部つながる」という前提は、現実には成り立たないことが多いです。
この失敗を経て、「完全自動化」ではなく「品質の高い半自動化」を目指す方針に切り替えました。
手間が少し残っても、品質が担保できる方が実務では価値が高い、という判断です。
品質か、自動化か
重要なのは、「完全自動化」を目指すのか「品質の高い半自動化」を目指すのかという 目的の設定です。
たとえばGoogle Meetの文字起こし機能は、ボタン一つで自動化できます。
でも精度は高くない。誤変換が多い。専門用語に弱い。
一方、Notta+手動コピー+Claudeの組み合わせは、
間に人間の操作が入る分「自動化」の程度は下がります。
でも品質は格段に上がります。
どちらを選ぶかは、何を目的にしているかによって変わります。
「とにかく記録を残したい、品質より量を優先したい」 → 自動化率の高いシンプルな仕組みを選ぶ
「顧客に提出する報告書の品質を上げたい、再活用できる記録を作りたい」 → 品質重視の半自動化を選ぶ
大事なのは「自動化すること」を目的にしないことです。
「議事録を資産にすること」が目的であり、そのための手段がツールです。
議事録の品質管理:AIに任せきりにしてはいけない理由
もう一つ、正直にお伝えしたいことがあります。
AI議事録には、発言者の特定が難しいという根本的な課題があります。
Zoom会議に複数人が参加している場合、
「この発言は誰がしたのか」をAIが正確に把握するのは現時点では難しい。
Zoomの発言者識別機能はありますが、
「このアカウント名が誰で、どんな立場か」という情報がなければ、
AIは文脈から推測するしかありません。
結果として、出てきた議事録が正しいかどうかを 人間が判断する工程は省けません。
特に気をつけるべきは合意事項・決定事項です。
「〇〇することになった」「〇〇は△△が対応する」といった 確定事項の部分を間違えると、
議事録としての信頼が崩れます。
ここだけは、AIの出力を鵜呑みにせず、
面談中に自分でメモを取りながら確認する習慣が必要です。
AIはあくまでエンジンです。 適切なインプットと、
人間による品質チェックがセットになって初めて、 顧客に出せる品質の議事録になります。
「AIで作れば楽になる」は半分正解で、半分は違います。
楽になるのは「清書」の部分であり、「判断」の部分は人間が担う。
この前提を持って使うかどうかで、 AI議事録の活用品質は大きく変わります。
組織で使うときの現実
個人で使う場合と、チームで使う場合では設計が変わります。
個人の場合は、自分さえ使えれば品質は担保できます。 でも組織で使う場合は、
- ツールのアカウントをどう管理するか
- 議事録ファイルをどこに保存して誰がアクセスできるか
- フォーマットを統一して、担当者が変わっても同じ品質を出せるか
という設計が必要です。
ルールが決まっていないまま「いいツールを入れた」だけでは、定着しません。
これは業務管理ツールに限らず、すべてのIT導入に共通する原則です。
私が見てきた中で、組織展開がうまくいっているケースの共通点は、
① まず代表かマネージャーが個人で使い込んで型を作る
② その型をフォーマット化して、職員に展開する
③ 最初から完璧を求めず、段階的に精度を上げていく
という流れをたどっています。
一気に全員でやろうとすると、必ずどこかで止まります。
まず「やってみた人」が型を作ることが、組織展開の最短ルートです。
〜〜〜〜
第3層:Obsidian(情報の蓄積・整理)

Obsidianとは何か
Obsidianは、テキストファイルを自分のパソコン内に保存して管理するノートアプリです。
クラウドに頼らず、自分のローカル環境にデータを持てることが特徴の一つです。
AIに「読ませやすい形式」とは何か
AIを使って情報を整理・再活用しようとするとき、 情報の保存形式が非常に重要です。
特殊なフォーマット(独自のデータ形式)はAIが読み取りにくく、 処理速度や精度に影響します。
現実的な選択肢は大きく3つあります。
選択肢①:テキスト形式(.txt)
最もシンプルで軽い形式です。 どんなAIでも読み込めて、汎用性が高い。
ただし、見出しや構造を表現しにくいため、
長い文書になると「どこに何が書いてあるか」がわかりにくくなります。
選択肢②:Googleドキュメント
チームで共有しやすく、リアルタイムで編集できます。
URLで共有できるため、アクセスのしやすさという点では優れています。
ただし、GoogleドキュメントのデータをClaudeなどのAIに読み込ませるには工夫が必要です。
GoogleドキュメントはGoogle自身のAI(Gemini)とは直接連携できますが、
ClaudeやChatGPTなど他のAIに読み込ませる場合は、
- ファイルを一つひとつ開いてテキストをコピーする
- または一括ダウンロードしてからAIに渡す
という手順が発生します。
ファイルが数件なら問題ありませんが、
過去の議事録を大量に横断して分析したい場合には手間がかかります。
選択肢③:Markdown形式(.md)
AIが最も扱いやすい形式です。
Markdownとは、シンプルな記号で文章の構造を表現するフォーマットです。
## 大見出しと書くと見出しになる**太字**と書くと太字になる-で始めると箇条書きになる
WordやExcelのような専用ソフトが不要で、普通のメモ帳でも書けます。
Claude、ChatGPT、NotebookLMなど主要なAIはすべてMarkdownをそのまま処理できます。
また、Markdownファイルはフォルダで階層管理できるため、
「顧客Aの2026年の面談記録」「社内ミーティングの議事録」といった 整理のしかたが自然にできます。
なぜ保存形式にこだわるのか
たとえば、過去10件の面談議事録を横断して
「この顧客が半年間でどんな課題変化をしているか」を分析したい場合、
議事録がMarkdown形式で整理されていると、AIに一括で読み込ませることができます。
でも議事録がWordファイルとPDFとメモ帳とチャットにバラバラに散っていると、
AIに渡すだけで手間がかかってしまいます。
情報の入れ方を整えることが、AI活用の質を直接左右します。
実際にどう使っているか:顧客データベースとの連動
少し具体的な話をします。
私が議事録を生成するとき、文字起こしのテキストだけをClaudeに渡すわけではありません。
顧客データベースのマスター情報もあわせて渡しています。
具体的には、
- 顧客の規模感(スタッフ数・事務所の規模など)
- 関わり方のカテゴリ
- 各担当者の名前と役割
これらをざっくりとした形でもClaudeに渡すだけで、
議事録の読みやすさと正確さが大きく変わります。
たとえば文字起こしに「田中さんが〜」と出てきたとき、
田中さんが所長なのか、担当スタッフなのか、先方の経理担当なのか。
この情報がないとAIは文脈を正確に読み取れません。
Zoomには発言者を自動で特定する機能がありますが、
「このアカウント名が誰で、どんな役割か」という情報は
外部から補わないとAIには判断できないのです。
私の場合、顧客を以下のカテゴリで分類しています。
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| パートナー・提携先 | 弊社をサポートしてくださる会社・個人 |
| 見込み客 | FLOWの導入を検討中 |
| オンボーディング中 | FLOW導入直後、初期設定・運用立ち上げ段階 |
| 活用サポート | 導入後の定着・活用促進フェーズ |
| コンサルティング | 業務設計・組織設計まで踏み込んだ支援 |
このカテゴリがClaudeに渡ると、
「この面談はオンボーディング段階のお客様との話だから、
初期設定の確認や運用の不安解消が主テーマのはず」
という背景をAIが判断した上で議事録を作ってくれます。
つまり情報の構造化は、Obsidianの中だけの話ではありません。
「どんな情報をどんな形で整えてAIに渡すか」が、 そのままアウトプットの品質に直結するという話です。
なぜMarkdownとObsidianを選んだのか
将来的にAIとの連携がさらに進んだとき、
独自フォーマットのファイルは「引っ越し」が大変になります。
テキストやMarkdownなら、どのツールに移行しても使い続けられます。
私はこの「将来の汎用性」を重視して、
EvernoteやTXTファイルに保存していた情報をすべてMarkdown形式に変換しました。
今すぐMarkdownに移行する必要はありません。
ただ、どの形式で保存するかの方針は早めに決めておくことをお勧めします。
理想の着地点:MCPサーバーとの連携
少し先の話になりますが、私が目指している理想形をお伝えします。
MCP(Model Context Protocol)サーバーという仕組みがあります。
難しい言葉ですが、簡単に言うと
「AIが直接データベースにアクセスして、リアルタイムで情報を参照しながら動く仕組み」です。
たとえば「この顧客の過去1年分の面談記録を参照して、今月の提案書を作って」という指示を出したとき、
AIが自動でデータベースから必要な情報を引っ張ってきて、
提案書を生成してくれる。 そういう使い方が将来的には可能になります。
現状は「ファイルをコピーしてAIに貼り付ける」という手動の橋渡しが必要ですが、
MCPサーバーが整備されるとその橋渡しが不要になります。
私自身、フローリーが開発しているFLOWでもMCPサーバーの活用を検討しています。
「今すぐ関係ない話」と思うかもしれませんが、
だからこそ今から情報の保存形式を整えておくことが重要です。
MCPサーバーを活用するときにも、
情報がきれいに整理されているかどうかが 活用精度を左右します。
今やっていることは、将来の仕込みでもあるのです。
〜〜〜〜
実際に何が変わったか
仕組みを作ったことで、私自身に起きた変化を正直にお伝えします。
変化①:議事録の品質が安定した
以前は「なんとなくこれをお願いします」という曖昧な指示でClaudeに渡していました。
プロジェクト機能でフォーマットを登録してから、
毎回安定した形式のアウトプットが出るようになりました。
顧客に提出する報告書も、以前より明らかに丁寧になりました。
「ちゃんと記録してくれている」という安心感が、顧客との関係性に影響しています。
変化②:顧客理解が深くなった
これは正直、想定外の効果でした。
面談後にClaudeにインサイト抽出を依頼すると、
「自分が話しながら気づいていなかったポイント」を拾ってくることがあります。
「この顧客、こういうことを課題に感じているんだ」という新しい視点が、
記録として残るようになりました。
担当者の「感覚」に頼っていた顧客理解が、
文字として共有できる形になったことで、
チームへの展開もしやすくなっています。
変化③:コンテンツのアウトプット量が増えた
このブログ記事もその一例ですが、
「書く時間がない」で止まっていたアウトプットが大幅に増えました。
私はもともとFacebookに相当な量の長文投稿をしていて、
そのデータ全量(1万3000行以上)をClaudeのプロジェクトに読み込ませています。
「以前こういう投稿をしていたのでブログにまとめて」という指示ができるようになり、
コンテンツ発信のスピードと量が変わりました。
〜〜〜〜
会計事務所の先生が今すぐ始めるための3ステップ

ここからは、先生方向けに整理します。
「Notta×Claude×Obsidianを全部揃えてください」ではありません。
段階を踏んで進めれば十分です。
ステップ①:まずClaudeだけ試す(今週中にできる)
ZoomやGoogle Meetには標準で文字起こし機能がついています。
自動でできた文字起こしをそのままコピーして、Claudeに貼り付ける。
「社内向け議事録と、顧客向け報告書の2種類を作ってください」と入力する。
これだけで始められます。
まず1ヶ月だけ試してみてください。
ステップ②:プロジェクト機能で「前提」を登録する
Claudeで議事録を作ることに慣れたら、プロジェクト機能を設定します。
登録しておくと効果的なものは、
- 事務所の概要・提供サービスの説明
- 議事録のフォーマット(社内向け)
- 顧客向け報告書のテンプレート
- よく使う言葉・避けたい表現
これを一度登録しておくと、毎回の指示が「文字起こし貼り付けて→出力」だけになります。
ステップ③:保存場所とフォーマットを統一する
議事録をどこに保存するか、ルールを決めます。
Googleドライブの共有フォルダでも構いません。
大事なのは「個人のドライブに入れない」こと。
必ず組織全員がアクセスできる場所に保存するルールを作ることです。
ファイル名も「20260401_面談_山田先生」のように統一しておくと、 後から探しやすくなります。
今すぐMarkdown形式に移行する必要はありません。
ただ「将来的にAIで再活用したくなったとき、情報がバラバラだと困る」という課題は必ず出てきます。
今から少しずつ方針を決めておくだけで、 後々の移行コストが大きく変わります。
あわせて読みたい記事



〜〜〜〜
まとめ

今回お伝えしたことを整理します。
議事録は「記録」ではなく「再現」のために作る。
面談の情報は、事務所にとって最もリアルな資産です。
それが記録されず、活用されずに消えているとすれば、大きな損失です。
私が使っている3層構造は、
| 層 | ツール | やること |
|---|---|---|
| 第1層 | Notta | 音声を高品質なテキストに変換する |
| 第2層 | Claude | テキストを4種類のアウトプットに加工する |
| 第3層 | Obsidian | Markdown形式で蓄積・整理・再活用する |
どのツールにもシステム上の限界はあります。 完全自動化は今すぐには難しい。
でも「品質の高い半自動化」は今日からでも始められます。
そしてAIはあくまでエンジンです。
発言者の特定や合意事項の確認など、「判断」の部分は人間が担う。
この前提を持って使うことが、AI議事録を本当に使えるものにする条件です。
まずClaudeを一つ試してみてください。
面談後の議事録作成が変わるだけで、
顧客への報告品質、チームへの情報共有、コンテンツへの転用。
連鎖的にいろいろなことが変わっていきます。
「どう始めればいいかわからない」という方は、 お気軽にご相談ください。
今日も良い一日を!
