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税理士事務所の進捗管理でよくある問題と改善策

税理士事務所タスク管理画面イメージ

九州のご事務所と面談していたときのお話です。

よくあるご相談なので先生にも共有できればと思って書きました。

どんな話かというと——

監査担当者の先生方は仕事が終わると定時でスパッと帰る。
一方で入力補助のパートさんたちは、残業してせっせとデータを入力している。
結果、社内で不満が出ている。

さて、先生はこの事例、何が問題だと思いますか?

「役割分担だから仕方ない」と言えばそれまでなんですが…
事務所の中に、じわじわと不満とモヤモヤが積み上がっていく状況です。


目次

【あるある】こんな場面、思い当たりませんか?

税理士事務所の進捗管理でよくある場面のイラスト

私がこれまで支援してきた1,200社以上の会計事務所・士業事務所の中でも、このパターンは本当によく見かけます。

細かい状況は事務所によって違いますが、共通しているのはだいたいこういう場面です。

・監査担当者が補助スタッフに「これお願いします」と気軽に仕事を渡す
・補助スタッフは誰からいくつ仕事をもらっているか、全体像がつかめていない
・担当者は自分の仕事が終わったら帰るが、補助側は深夜まで残業している
・「あの人はいつも楽そうなのに、なんで私ばかり…」という空気が生まれ始める
・所長は何となく異変を感じているが、全体のリソースがどうなっているか正確に把握できていない
・指摘しようにも「仕事の配分がおかしい」という根拠が見える化されていないので動けない

どうでしょう。

「うちの話かな」と思った先生、いらっしゃいませんか?

これ、決して珍しい話ではないんです。

むしろ、分業体制をとっている事務所ではほぼ必ずと言っていいほど起きやすい問題です。


【整理】問題の正体を分解してみましょう

進捗管理の問題の正体を分解して整理する図解

「なんとなく不公平」「なんとなくうまく回っていない」という状態を放置していると——

・補助スタッフが疲弊して離職する
・監査担当者と補助スタッフの間に溝ができる
・所長が気づかないうちにチームが機能不全になる

という流れになります。

もったいないですよね。本当に。

では、この問題の正体は何でしょうか。

私はこれを大きく3つの問題に分けて考えています。

問題① 「誰が誰の仕事をどれだけ引き受けているか」が見えない

補助スタッフが複数名いて、複数の担当者から仕事を受けているとき。

AさんはBという担当者から5件もらい、Cという担当者から2件もらっている。
DさんはEという担当者から1件しかもらっていない。

こういう状況が、リアルタイムで可視化されていない事務所がほとんどです。

「全員に今の状況を聞いてみましょう」と言っても、6人いれば6人分の確認が必要で、それをまとめて判断する作業が所長か管理者にのしかかってきます。

毎日これをやるのは、現実的に無理ですよね。

問題② 「やった分が評価されない」仕組みになっている

監査担当者と入力補助スタッフは、そもそも給与テーブルが違います。

補助スタッフが頑張って多くの仕事を引き受けてくれたとして、それがどう評価されるのか。

「ありがとう」で終わっているのであれば、やがて補助スタッフは「私が頑張っても何も変わらない」と感じ始めます。

評価の仕組みがなければ、どれだけ現場で頑張っても報われない。
これが続くと、モチベーションが落ち、最終的には離職につながります。

問題③ 「1対1構造」ではリソースの最適化ができない

監査担当者1人に補助スタッフ1人、という1対1のペア構造。

これは一見シンプルでわかりやすいのですが、事務所全体で見たときに大きな問題があります。

Aさんペアはパンパンに仕事が詰まっている。
Bさんペアは比較的余裕がある。

でも、1対1構造では仕事を融通し合えません。
「AさんのパートナーがBさんペアを手伝う」という動き方が、仕組みとして設計されていないからです。

そこで多くの事務所は、3対3、5対5といったN対N構造(チーム型)に移行していきます。

3人の監査担当者と3人の補助スタッフがひとつのチームを作り、チームの中で仕事を融通し合う。

これは正しい方向性です。

ただ、N対N構造にしたとたん、新しい問題が生まれます。

「チームの中で、誰にどう仕事を振るか」——このリソース配分をどうやって管理するか、という問題です。


【核心】「進捗管理」と「リソース管理」は、まったく別の問題です

進捗管理とリソース管理は別の問題であることを示す図解

ここが今日のいちばん大事なところです。

少し、こんな場面を想像してみてください。

3人のドライバーが交代しながら、東京から名古屋まで車を走らせています。

「今、浜松あたりまで来たよ」——これが進捗管理です。どこまで進んだかがわかる。

「Aさんは3時間運転したけど、BさんとCさんはまだ30分しか運転してないよ」——これがリソース管理です。誰にどれだけの負荷がかかっているかがわかる。

この2つは、まったく別の情報です。

「どこまで進んだか」と「誰が頑張ったか」は、同じシートでは管理できません。

ところが多くの事務所では、この2つを「進捗表」というひとつの仕組みで解決しようとしています。

Excelの進捗表、管理シート、タスク一覧——どれも「仕事がどこまで終わっているか」「誰が担当しているか」は見えます。

でも、今この瞬間に誰にどれだけの負荷がかかっているか、チーム全体で仕事が偏っていないか、補助スタッフが担当者の仕事をどれだけ引き受けているか——これらは、進捗表では見えないんです。

「進捗表を使っているのになぜかうまく回らない」という声をよくいただくのですが、答えはシンプルで、用途が違うシステムを使っているからです。

進捗表は進捗を管理するためのもの。
リソースの配分・再配分・現状把握をするためのものではありません。

これ、当たり前のことのようでいて、意外と見落とされています。


【比較】進捗管理と生産管理——何が違うのか

進捗管理と生産管理の違いを比較する図解

ここをもう少し丁寧に整理してみます。

進捗管理でわかること

・仕事がどこまで終わっているか(完了率、残件数)
・誰が担当しているか

これだけです。

Excelの進捗表や管理シートが教えてくれるのは、あくまでこの2点。

「仕事が終わっているかどうか」と「担当者が誰か」——それ以上のことは、進捗表からは読み取れません。

生産管理(リソース管理)でわかること

・誰に今どれだけの負荷がかかっているか
・チーム全体で仕事の偏りが起きていないか
・標準作業時間に対して、実際の作業時間はどうか
・補助者が担当者の仕事をどれだけ引き受けているか
・リソース不足が起きているのはどこか

進捗管理と比べると、見えている情報の次元がまったく違いますよね。

工場の「センサー」に例えると

優れた製造工場には、生産ラインの各所にセンサーが設置されています。

どのラインで止まりが起きているか、どこに負荷が集中しているか——センサーがリアルタイムで察知する。

管理者が全ラインを歩き回って目視確認するのではなく、問題が起きた場所にだけ集中できる。

これが「生産管理」の考え方です。

会計事務所の業務管理も、規模が大きくなるほど同じ発想が必要になります。

所長や管理者が全員に逐一確認しなくても、誰に負荷がかかっているか、どこで仕事が詰まっているかがシステムで即座にわかる状態を作る。

その「察知する装置」が、業務管理システムの本来の役割です。

Excelや進捗表が「どこまで進んだか」を記録するツールだとすれば、業務管理システムは「誰にどれだけの仕事が積まれているか」を見えるようにするツールです。

これ、まったく別のものです。

「うちにも進捗表があるけどうまく回らない」という相談に対して私がよくお伝えするのは、

「それは進捗表が悪いんじゃなく、必要なのが別のシステムだからです」

という一言です。


【深掘り】1対1の問題、N対Nの問題、それぞれリアルに起きること

1対1とN対Nの問題がリアルに起きることを示すイラスト

もう少し、具体的な話をさせてください。

1対1構造のとき——こんな詰まり方をします

監査担当者Aさんに、補助者Bさんがついているとします。

Aさんの担当件数が増えてくると、Bさんへの仕事量も増えます。

一方でCさん・Dさんペアは比較的仕事が少ない。

でも、BさんはあくまでAさんの補助者なので、Cさん・Dさんペアを手伝う動き方が制度として存在しない。

チームが個別のペアに分断されているので、事務所全体でリソースを融通できないんです。

さらにこんな問題も起きます。

Bさんがまだ慣れていないうちは「Aさんの担当を全部入力する」のが追いつかない。
一方でCさんは熟練者で、担当のDさんの仕事を早々と終えてしまって余裕がある。

「Cさんにも手伝ってほしい」という状況は誰の目にも明らかなのに、仕組みがないと動けません。

逆に、監査担当者が自分で仕事を抱え込みがちで、補助者があまり仕事をもらえない、という状況も起きます。

補助者からすると「私がいる意味は?」となりますし、担当者はといえば抱え込み過ぎて疲弊していく。

1対1構造の限界は、こういうところに表れます。

N対N構造に移行したとき——今度はこんな問題が起きます

では、3対3のチーム型に移行したとしましょう。

監査担当者3人・補助スタッフ3人で、合計6人のチームです。

チームの中で仕事を融通し合えるようになります——が、次の課題が出てきます。

「誰がいま何件持っていて、誰に余裕があるか」を毎日把握しなければならない。

6人分のリソース状況を正確に把握して、偏りがあれば付け替えをする。

これを毎日やるとなると、朝夕1時間ずつのミーティングが必要かもしれません。

現実的に、そんな時間はとれませんよね。

だからみんな、やらないんです。

でも、やらないと回らない。

このジレンマが、多くの事務所で起きています。

ここで大事なことをお伝えします。

「毎日やる必要があるが、やれていない」のは、担当者や所長が怠けているからではありません。

「やれる仕組みがないから、やれていない」のです。

もしシステムで状況が事前に見えていれば、ミーティングは15分で完結します。
でも仕組みがなければ、現状をキャッチアップするだけで1時間以上かかります。
そうなると誰もやらない。やらないから回らない。

設計の問題です。

人の問題ではありません。


【提案】ではどう解決するか。段階を踏んで整えましょう

段階を踏んで進捗管理を改善する提案の図解

「じゃあすぐにシステムを入れましょう!」とはなりません(笑)。

一気に変えようとすると、必ずどこかで詰まります。

私がおすすめするのは、次の4段階のステップです。

ステップ① 現状を「見える化」する

まず今、誰がどの仕事をどれだけ持っていて、誰が誰の補助を引き受けているのか。

この現状を可視化することからはじめます。

紙でも、Excelでも、まずは「全体像が一枚でわかる状態」を作ることです。

現状が見えていないまま次のステップに進んでも、何をどう変えればいいかわかりません。

まず現在地を把握することが、最初の一手です。

ステップ② チーム構造を設計する

1対1のペア型で続けるのか、N対N構造のチーム型に移行するのか。

これは事務所の規模や職員構成によって変わります。

一般的に6〜10名規模であれば「3対3」が機能しやすいと、私自身多くの事務所を見てきた中で感じています。

ただ、チームの大きさより大事なのが「チームの中でどう仕事を融通し合うか」のルールを先に決めること。

・誰かの仕事量が多くなったとき、誰がどう引き受けるか
・引き受けたことをどう記録するか
・その記録をどう評価に反映するか

ルールがなければ、チーム型にしても「なんとなくやっている人とやっていない人」が生まれます。

ステップ③ リソース配分を定期的に見直す仕組みをつくる

チームの中での仕事の配分は、毎月変わります。

繁忙期になれば仕事量が増えますし、担当者によって件数の増減もあります。

これを定期的に見直す「リソース配分の場」を設けることが大切です。

ただ、「全員集めてミーティングで確認する」だけでは限界があります。

事前にシステムで状況が見えていれば、ミーティングは15分で完了します。
システムがなければ、現状把握だけで1時間以上かかります。

ここでシステムの出番です。

ステップ④ 評価制度に「やった分」を反映させる

最後は評価の設計です。

補助スタッフが多く仕事を引き受けた月、それが給与や評価にどう反映されるのか。

「ありがとう」だけでは、長続きしません。

「頑張った分だけ、ちゃんと報われる」という実感がチームの活力につながります。

これは評価制度の話でもありますが、まず「誰が何をどれだけやったか」が記録されていなければ、評価しようがありません。

記録の仕組みと評価の仕組みは、セットで設計する必要があります。


【補足】FLOWを作り続けている理由も、まさにここにあります

私がFLOWというシステムを開発・改善し続けてきた理由のひとつが、まさにこの問題です。

「誰がどれだけ仕事を引き受けているかわからない」「リソースの偏りが見えない」「補助スタッフの頑張りが評価されない」——こういった現場のトラブルを聞き続ける中で、「これを解決する仕組みが必要だ」と感じて機能を積み上げてきました。

FLOWでできることをひとことで言うと、「タスク管理と顧客管理を、現場の職員目線で連動させる」ということです。

担当者が作業を進行するだけで進捗表が自動更新される。
誰が今何件の仕事を持っているかが即座にわかる。
チームへの仕事の振り分けと再配分が簡単にできる。
日報・工数管理・採算分析まで一元化できる。

「チームに仕事を渡す機能」「誰が引き受けたかを記録する機能」「リソースの偏りをリアルタイムで確認できる機能」——これらはいずれも、現場で起きているトラブルをベースに生まれた機能です。

「現場を見てきた量がシステムの精度につながる」と私は思っています。

もちろん、FLOWがすべての事務所にとって最適とは言い切れません。

でも「分業体制のリソース管理」「チーム内でのリソース再配分」「現状把握のしやすさ」という観点でいえば、自信を持ってお勧めできるシステムです(笑)。


【まとめ】「うまく回らない」のは、あなたの責任じゃない

今回の記事でお伝えしたかったのは、一言でいうとこれです。

「うまく回らない」のは、あなたや職員の努力が足りないからではなく、仕組みの問題です。

監査担当者が定時で帰るのも、補助スタッフが残業するのも、誰かが悪意を持ってそうしているわけではありません。

見えないから、わからない。
わからないから、動けない。
動けないから、偏りが続く。

この連鎖を断ち切るのは、根性論ではなく「設計」です。

まず現状を可視化して、チームの構造を設計して、リソースを管理できる仕組みを整える。

その積み重ねが、「職員が潰れない事務所」「お客様に迷惑をかけない事務所」につながっていきます。

一歩ずつで大丈夫です。

まずは今の事務所のリソース状況を「見える化」するところから、始めてみてください。

今日も良い一日を!

「うちの事務所、こういう状況かも」「一度相談してみたい」という先生がいらっしゃれば、気軽にメッセージをください。一緒に整理しますよ(笑)。

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