kintone導入失敗を乗り越えて ─ 職員主導で実現した業務標準化とRPA導入

kintone導入失敗を乗り越えて ─ 職員主導で実現した業務標準化とRPA導入
「社員がやりたいと言ってくれて、それをみんなに伝えてくれる。そういう気持ちが尊い」── 売上重視から働きやすさ重視へ経営方針を転換し、長年の属人化課題を解決した社労士事務所の取り組み。
導入して1年で、標準化・見える化・RPAの導入も実現しました。インタビューに向けて職員に導入してよかったか聞いたら、短時間で良い声が集まって、導入してよかったなと改めて思いました。
真下労務サポートオフィス 代表 社会保険労務士 真下様
Q1. ご事務所のご状況を教えてください
倉賀野で開業19年になります。現在職員は11名で、正社員7名、パート4名という構成です。顧問先は群馬県を中心に、埼玉と東京の方もいらっしゃいます。
過去、WEB集客なども行いましたが、現在はご紹介を中心に顧問先拡大をしています。メインは顧問契約と手続き業務で、クライアントはサービス業が多く、小売り・卸し業、20名〜30名規模の企業様が多いです。
Q2. FLOWはご事務所でどのように使われていますか
導入検討して1年半、運用がスタートして1年が経過しました。メインはタスク管理と日報(レポート登録)を行っています。
利用も定着したため、今後は以下3点をやりたいと思っています。
- 顧客情報の集約
- 面談議事録の活用:先生がメモで残しているものを保存していきたい
- 生産性分析:お客様からの報酬と工数をうまくバランスをとりたい
Q3. FLOW導入前の課題を教えてください
拡大路線での組織トラブル
開業して10年は売上目標を立てていて、毎月経営会議をして売上が増えた等の共有をしていました。結果、2010年までに8名程度の規模まで大きくなりました。
2010年頃からHPを作成し、助成金での営業をスタートしました。お客様は増えましたが、いくつかの理由から撤退しました。
- 助成金さえもらえればいいという労務への意識が低い方が多かった
- 仕事が煩雑すぎてスタッフが疲弊した
- キャリア形成助成金を中心に営業していたのでやることがたくさんあった(助成金を申請する企業の日報のチェック・研修など多くの作業が発生した)
当時は、派遣社員を1名臨時で採用するほど忙しく、売上を伸ばすことだけを迫られる気がしていました。結果、内部が整わないまま売上が増えていく感じがしていて…そんな最中、対立したスタッフ2名が共に退職し、拡大戦略を変更しようと思いました。
経営方針の転換
売上だけ追いかけるのではなく、スタッフの仕事のしやすさ、働きやすさを目標に経営するようにしました。
月次の全体会議のテーマも、新規顧客数と売上から、「どのようにお客さんに喜んでもらうか」と「どうしたらもっと働きやすい事務所になるか」の2つを中心に会議するようになりました。
すると、助成金の売上は減りましたが、顧問先からのご紹介が増えるようになりました。
経営方針の変更に伴って、評価制度も変更しました。過去(2010年)にスキル採用したら事務所がギスギスしました。そうすると全体の気持ちがダウンして、全体の生産性が下がることを強く感じました。それからは、全員でやっていくスタンスに切り替えて、勤続年数を大きく考慮するようにしました。
社員さんがやりたいと言ってくれて、それをみんなに伝えてくれる。そういう気持ちが尊いと思うし、そのためには長く務めるということがとても大切だと思います。お客さんへの気配りなどは長く務める中で育つと思います。
長年解決できなかった属人化問題
経営方針を変えて事務所がよくなり出した一方、ずっと解決できない問題がありました。
働きやすい事務所を考える上で、仕事の流れが属人的なのはスタートから課題にあったのですが、長く改善することができないでいました。それぞれの社員が、よかれと思って自分なりのやり方で仕事をやっていて、お客さんの対応も個々人がエクセルで備忘録をつけていました。
属人的なことを解決したいと会議をしていましたが抜本的な解決ができず、紙の管理表がどんどん増えていきました。あっちにつけてこっちにつけて、つけない人もいて、個々でつけている管理表はチェックしきれませんでした。
今考えると、原因はそもそものやり方がバラバラだったこと。それを管理表にしようとしても無理があって、でもやり方を統一しようとしても「社員の働き方の好み」と「このお客さんにはこの対応が必要です」と言われてしまうとどうにもできませんでした。
Q4. 過去のツール導入についてお聞かせください
ツール導入を決めたのは2018年頃です。顧問先から支援会社を紹介してもらって一度kintoneを導入しました。
ただ、本当にすぐに使わなくなりました。担当を立てる前に「これじゃ上手くいかないよね」と思ったし、社員からも「むりです」と言われ、すぐに退会しました。
事前のイメージとのギャップ
もっと導入の支援をしてくれると思っていました。やってくれるイメージだった。実際はほとんどサポートがありませんでした。
業務改善チームは社内で決めていましたが、そこでどうにかしようの前に社員から「むりです」という声が上がり、すぐに利用を停止しました。
結果、エクセルの備忘録に戻ってしまいました。セルズの台帳にも個々の記録はできますが、みんなで共有ができなくて、結局個人個人が好きな方法で管理するようになりました。この状況は長く続きました。
2020年8月、ご縁があってご紹介いただいたFLOWに興味を持ちました。
Q5. FLOWの検討にあたり、他に利用を検討されたサービスはありましたか
ありませんでした。理由としては、過去にいろいろ試しており、上手くいっていなかったからです。そのため、FLOWをご提案いただいた時も比較は行いませんでした。
実は、FLOW導入の少し前に、会計事務所が運営している有名な業務管理ツールのサービス説明会にも参加しました。ITリテラシーが高いリーダーと参加しましたが、参加後のミーティングで「活用できなさそう」という結論になり、導入を見送っていました。
Q6. FLOWの導入を決めた際の理由を教えてください

基本的には業務改善チームのリーダーや社員の反応を見て導入を決めています。
今回、「なんでFLOWにしたの?」と社員に聞いたら、
- 今やっている仕事をツールに乗せること
- どうやって業務を管理するのか
- 事務所へどうやって導入推進をするのかイメージを持てたから
と言っていました。
**どう推進してどう定着させるかがイメージできた。みんなで話したときに「これならできそうだ」と思ってもらえた。**ツールとして良いと思ったのと、ココペリ側のフォロー体制も含めて判断基準となりました。
Q7. FLOWを導入して1年、どのような効果を感じていますか
職員から集まった13の効果
①まずは業務フローの標準化ができた
②RPA導入にも有効だった RPAの対象業務と対象にならない業務がワークフローを整理することで明確になった
③会社ごとの業務量がわかるようになった
④事務所全体・それから個人個人の業務量が見えるようになった
⑤請求漏れがなくなった 担当者が自分でタスクを作るので、この仕事は請求するかどうかを考えるようになった
⑥引継ぎがラクになった 担当者以外が途中で仕事を引き継ぐことがあってもできるようになった
⑦進捗が見えやすくなった いままでファイル開いたり、備忘録を確認してたりしたが、ステップですぐわかるようになり、お休みにも対応できるようになった
⑧業務フローを整理して作ったので改善がしやすくなった 「ここはこうしよう」「なくそう」といった標準化の次の改善に向けた考えが出るようになった
⑨FLOWの中でマニュアル化できている業務が増えてきた FLOWのメモがマニュアルになった
⑩RPAはFLOWのメモで完璧に誰でもできるようになった
⑪手続き漏れがなくなった 受けたときにタスクを作るようになった
⑫超過ステップでモレと最後まで終わっていないというのが分かるようになった
⑬それぞれのスタッフの業務の集中具合がわかるようになった 昔はMTGで口頭確認していたが、それがなくなった
Q8. どうして浸透したと思いますか
1年くらいかけて、最初は入力が大変そうでしたが、社員全体のFLOWの理解度も上がってきたように思います。また、「めんどうくさい」と言いながらやる人はいましたが、やらない人はいませんでした。それだけ課題意識があったんだと思います。
浸透した理由は3つあると思います。
- 導入前に社員向けに説明会をしてくれた
- 導入サポートで業務整理してくれたスプレッドシートの内容がよかった
- ツール自体も使いやすかった
Q9. FLOWの評価を教えてください
入れてよかったです。こうしてほしいという要望はありますが、弱点は感じないサービスです。
事務所には、業務改善チーム、情報配信チーム、研修チームといったチーム(業務とは別の横断型の委員会・プロジェクトのようなもの)があり、毎年職員に自分でどれか選んで所属してもらっています。
FLOWを入れた当時は業務改善チームのメンバーが一番多かった。それだけ事務所内で課題に感じている人が多かったんだと思います。
ただ、2022年(今年)は情報配信チームを希望する人が多かったです。1年間でそれだけちゃんと導入が定着し、一定以上の効果が出たんだと職員も感じているんだと思います。
Q10. 業務の見える化・タスク管理に課題を感じている先生へのアドバイスをお聞かせください
事務所の中だけでは標準化は無理
事務所の中だけでやろうとしても、どうしても標準化は無理だと思います。1人1人やり方が違って、お客様によって異なるのも当然、という前提があるので。
それを、外部からココペリさんが入ってきてくれて壊してくれました。内部だけでやろうとすると、社員から「無理ですよ」と言われておしまいになります。社外から入ってきて「他の社労士事務所さんはやってます」って言われて、じゃあうちもできるんだと思えるようになりました。
お金はかかっても内部に入ってもらわないと何も変わらない
事務所だけだと、手間暇かけて時間かけてやりました、ダメでした、ってなると思います。うちも昔はそうでした。自社でやると中途半端になりますし、例外が増えていきます。繁忙期もあると考えることもストップしてしまい、どうしても中途半端になります。
スタッフの不安を解消すること
導入の際には、スタッフの不安を解消することも大切だと思います。スタッフは、個々の業務量を監視され「あなたは暇でしょ?」って言われる不安はあったと思います。でもそこを目的にしていないよと最初に伝えたのはよかったと思います。
「お客さん毎の業務量は見るけど、個々の業務量を監視するためにやるんじゃないよ」と伝えました。FLOWさんが最初の説明会を全員でやれたのはよかった。あれがあったからスムーズに進められました。
Q11. 最後にFLOWへのご期待をお聞かせください
末永くお付き合いいただければと思っております。セルズもそうですが、業務ソフトを変えるのは本当に大変で、だからこそ長く付き合っていきたいと思っていますし、ソフト会社さんがちゃんとサービスをよくしていってくれると嬉しいです。
インタビューは以上となります。ありがとうございました。
真下労務サポートオフィス様のツール導入と活用術ポイント
ポイント01:組織目標を変更することで社員が定着 元々は拡大路線で新規獲得の営業を中心に行っていましたが、組織トラブルから大きく方針を変更。売上重視から働きやすさ重視へ転換した結果、顧客からのご紹介のみで拡大し続けるようになりました。
ポイント02:業務横断型のチームによって、各自が主体的に行動 日常業務に加えて、事務所全体を良くするためのチームに所属するルールを設けています。自分が関心のあるチームを選ぶことで主体的に行動ができ、結果として事務所の様々な課題を解決し、お客様に対しても有益な情報提供ができるようになりました。
ポイント03:標準化を意識してRPA化を実現 RPAの導入を検討していましたが、どこからどこまでの仕事をRPAで行うのか、その事前・事後に何をするべきかといった点が標準化されておらず、導入実現ができない状況が続いていました。FLOWによる標準化により、どの業務がRPAにできるか、RPAに変更するにあたって業務をどのように変更するかといった点が俯瞰して見えるようになり、導入が大きく推進。現在いくつものRPAを活用しています。
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