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会計事務所がエクセル管理からツール移行する際のゴール設定と3ステップ

エクセルからFLOW移行3ステップイラスト

前回の記事では、エクセル管理がどこで限界を迎えるか、FLOWとはどういう仕組みかをお話しました。

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税理士事務所のエクセル業務管理の限界サインと移行後に変わる5つのこと エクセル業務管理の限界と、移行後に変わること 先日、あるご事務所の所長先生とお話していたときのことです。 「大須賀さん、うちのエクセル、もう限界な気がするんで...

今回はその続きです。

ただ、少しだけ立ち止まって、大事なことをお伝えさせてください。

私がご支援をしていると、こんなご相談をいただくことがあります。

「大須賀さん、うちもFLOW入れましょう!で、何から始めればいいですか?」

この前のめり感、嬉しいんです。本当に。

ただ正直に言うと、「ツールを入れること」が目的になっているケースは、あとあと詰まります。

入れた直後は動いているように見える。
でも3ヶ月後、6ヶ月後に
「なんとなく使われていない」
「エクセルと二重管理になってしまった」
「誰が何を入力するか曖昧なまま」
という状態になっているご事務所を、私は何度も見てきました。

これ、ツールが悪いのでも、職員さんの意識が低いのでもありません。

「何のためにやるか」が、先に整理されていなかったことが原因です。

今日は、移行前に置くべきゴールの話と、
そこから逆算したときに「何を・どの順番で整えるか」を、具体的にお伝えします。

少し長くなりますが、これを読んでから動き始めると、移行後の景色がかなり違ってきます。

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目次

ツール移行で届けたいゴールとは

【移行の本質】エクセルからFLOWに変え|イラスト

私が会計事務所のご支援で、最終的に目指しているのはこういう状態です。

仕事が淀みなく流れて、職員さんが安心して力を発揮できて、顧客への支援品質が上がり、事務所が長く伸び続ける。

これがゴールです。

FLOWを入れることも、契約書を整えることも、工程表を作ることも、全部この先にあるゴールへの手段です。

もう少し分解すると、5つに集約されます。

「意味のない管理の声かけを消す」

「あのタスク、やりましたか?」「誰がお客様に電話しましたか?」

こういった確認のための確認が増えるほど、現場は消耗していきます。仕事の状況が見えることで、この種の会話が減り、前向きな話し合いに変わる。それだけで、職場の空気がずいぶん違ってきます。

「誰かに負担が偏って潰れる構造をなくす」

属人化や引継ぎ不全があると、頑張っている人にしわ寄せが集まります。担当者が変わっても回る、誰かが休んでもフォローできる、そんな助け合いの設計をつくること。

「働き方の選択肢を増やす」

リモートや分業を現実的にするには、情報が一か所にあってルールが揃っていることが前提です。ツールはその「器」で、目的は「働きやすさを実装すること」です。

「”頑張り”が正しく評価される土台をつくる」

業務が見える化されると、成果も貢献も埋もれにくくなります。評価や育成の話ができる余白が生まれ、組織としての健全さが上がっていきます。

「事務所が提供できる付加価値を増やす」

効率化で生まれた時間を、お客様への提案・面談・品質向上・人材育成に回せる状態にする。結果として、お客様の経営を元気にする支援を、もっと厚くできる。これが最終目的です。

このゴールを置いた上で、移行の準備を考えていきます。

「ツール移行の成功」は中間目標です。

本当のゴールは、先生が長い目で見て安心して組織を任せられて、職員さんが潰れず、お客様に迷惑をかけず、それでも事務所が成長できる「仕組みと文化」まで含めた完成形です。

ここを先に置いておくと、次からの話の意味が変わってきます。

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ステップ①:契約書に回収頻度と遅延対応を明記する

【移行の本質】エクセルからFLOWに変え|イラスト_2

一つ目は、お客様との契約管理の話です。

「え、ツールの話じゃないの?」と思われたかもしれません。

でもここが、実は一番根っこにある問題です。

月次業務を標準化しようとしたとき、「いつ資料をもらうか」が決まっていないと、何も計画が立てられません。

毎月決まった日に来る予定が、2ヶ月まとめて来た。訪問のつもりが郵送になった。3ヶ月以上、音沙汰なし。

こういったことが起きるたびに、業務の波が乱れます。担当者のスケジュールが崩れ、他のお客様への対応にも影響が出る。

これはFLOWを入れても解決しません。

仕事のタスクが自動で生成されても、資料が届かなければ仕事は前に進まないからです。

解決策は、契約書に明記することです。

具体的には、こういった内容を契約書や覚書に入れておくことをお勧めしています。

・資料の回収頻度(毎月○日までに提出、など) ・回収方法(訪問・郵送・クラウド共有など) ・面談の頻度(月次面談あり/なし、年○回、など) ・資料遅延が発生した場合の扱い

この最後の「遅延時の扱い」が、一番大事だったりします。

事務所によっては、3ヶ月以上資料の遅延が続いた場合は追加報酬をいただく、あるいは解約条件とする、という形で契約書に入れているところもあります。

「そんなことをお客様に言えるか」と思われる先生もいらっしゃいます。

ただ、私の見立てでは、これはお客様への誠実さの問題でもあります。

資料が遅れれば、試算表の到着も遅れます。税務上の問題が後手になります。「ちゃんとお届けするために、ご協力をお願いしたい」という文脈であれば、多くの先生方が誠実に合意を取れると感じています。

契約上の合意がある状態で業務が回るのか、そうでないのかでは、標準化のしやすさが全然違います。

契約件数や回収頻度が「揺れ幅」のままだと、どれだけ内部の設計を整えても、波の入り口が塞がれていない状態が続きます。

業務が「淀みなく流れる」ためには、まずこの入り口からです。

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ステップ②:工程表と担当責任を明確にする

【移行の本質】エクセルからFLOWに変え|イラスト_3

二つ目は、内部の業務体制の話です。

ツールを入れる前に、工程管理表と、各工程の「責任者・納期・次に進む条件」が定義できているかという点です。

工程管理表というと少し堅く聞こえますが、要は「月次の仕事の流れを、手順として書き出してある状態」です。

資料回収→スキャン→入力→チェック→試算表作成→納品

こういった流れを、事務所として「これが基本だ」と確定しているか。

そして、各工程の「納期」と「責任者」が決まっているか。

これがないと、何が起きるか。

遅延が発生しても、どこで止まっているかがわかりません。止まっている場所がわからないから、打ち手も出てきません。打ち手がわからないから、気づいたら決算前に全員が疲弊している。

このパターン、本当によく見ます。

中間の納期がないことが、遅延の見えにくさを生んでいます。

「最終納期さえ守れれば」という考え方では、どこかで大きな詰まりが起きるまで気づけないんです。

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ここで、少し具体的な話をします。

特に資料回収の工程は、要注意です。

「回収担当者がお客様と仲が良いがゆえに、言いにくくて後回しにしてしまう」

という現象が、本当によく起きます。

関係性が深いから声をかけにくい。面倒くさいから今日じゃなくていいか、と後回しにしてしまう。

これ、その人の人格の問題ではありません。構造の問題です。

「誰がいつまでに資料をもらう責任を負うか」が明確でないから、”言いにくければ後回し”という選択肢が生まれてしまうんです。

解決策は、個人を責めることではなく、

「誰が、いつ、どういう条件で次の工程に進められるか」をルール化することです。

具体的には、こういった設計です。

・資料が揃った状態でないと、入力工程が始まらない(インプット条件) ・入力完了後にチェック担当者へ通知が届く(次工程への引き渡し条件) ・資料未着が○日続いたら、窓口担当から先生へエスカレーションする(遅延時のルール)

こういった「条件と責任の所在」を決めてからツールに乗せると、FLOWの完了ボタンや自動通知の機能が本当に生きてきます。

逆に、この設計がない状態でツールを入れると、担当者が何をトリガーに動けばいいかわからず、ツールが形骸化します。

工程表と責任設計は、ツール導入前に最も時間をかけて整理する価値がある場所です。

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ステップ③:最初の1〜2ヶ月の定着設計を作る

【移行の本質】エクセルからFLOWに変え|イラスト_4

三つ目は、導入後の話です。

FLOWを入れた直後は、どうしても「入力が増えた」と感じます。

エクセルだったら直接セルに書いていたものを、タスクを開いて、ステップを完了して、メモを残して……という操作に慣れるまでに時間がかかります。

私の経験上、「これ便利だな」と職員さんが体感できるのは、早くて1ヶ月、平均して2ヶ月後ぐらいです。

それまでの間、離脱させないことが重要です。

特に注意が必要なのが、「全然使っていないサービスで毎日日報だけ出す」という状態です。

業務管理ツールに対して苦手意識を持っている方は少なくありません。その苦手意識がある状態で、日報だけを義務化してもツールへの抵抗感が増すだけです。

大切なのは、ツールを「自分の仕事と繋がっているもの」として体感してもらうことです。

そのために有効な方法を、いくつかお伝えします。

日報をFLOWの中で出す

業務管理ツールに毎日触れる習慣を作るために、日報の記録場所をFLOWに統一するのが効果的です。「今日やった仕事がここに全部ある。そこから引っ張れる」という動線を作ると、自然に使用頻度が上がります。

社内のやり取りをFLOWに集約する

「この件、どこまで進みましたか」という確認をFLOW上のコメントでやるルールにすると、ツールを開く理由が日常の中に増えていきます。

最初の入力負担を、意識的に最小化する

「最初は完了ボタンだけ押せばOK」「コメントは必須にしない」など、ハードルを下げるルール設計から始めることが大切です。慣れてきたら徐々に記録の粒度を上げていく、段階的な定着を目指します。

定着しないのは、職員さんの意識が低いからではありません。

最初のルール設計と、小さな成功体験を積み重ねる仕掛けが足りていないことがほとんどです。

ここを丁寧に設計すると、3ヶ月後に「もうエクセルには戻れないです」という言葉をいただけるようになります。

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ツールが定着した後に見えてくる世界

【移行の本質】エクセルからFLOWに変え|イラスト_5

ここまでの3つのポイントが整い、ツールが定着して工数データが蓄積されてくると、次のステージが見えてきます。

申告書のPDFを作成したら自動でメールに添付して送信する、返信が届いたら内容をPDF化してクライアントごとのフォルダに自動保存する。

こういったRPAや自動化の検討が、現実的になってきます。

ただ、自動化には「全員が同じ工程を、同じルールで動いている」ことが絶対条件です。

担当者ごとにAIの使い方が違う、科目コードがバラバラ、補助科目の設定が人それぞれ、という状態では、個人の生産性は上がっても事務所全体の生産性は下がりやすくなります。

それぞれが個別に工夫することで、かえって標準化が難しくなるパラドックスです。

各自のスピードは上がっているのに、引き継ぎができない、教育がしにくい、増員しても即戦力にならない、という状態が起きやすくなります。

だから、順番が命です。

① 標準化する → ② 責任と条件を設計する → ③ ツールで一元管理する → ④ 定着させる → ⑤ データを蓄積する → ⑥ 自動化・AI活用を検討する

この流れを踏むことが、結果として一番速い改善の道だと思っています。

最初から最速・最先端のツールに乗りに行くのは、行き先の決まっていない新幹線に乗るようなものです。

速ければ速いほど、目的地から遠ざかってしまう。

東海道新幹線に乗っても、東北には着かないんですよ。これ笑えない話です(笑)

焦る気持ちはよくわかります。でも、組織の整備では「急がば回れ」が本当に効きます。

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まとめ:ツールをインフラに変えるために

【移行の本質】エクセルからFLOWに変え|イラスト_6

改めて整理します。

エクセルからクラウド管理ツールに移行するとき、ツールの機能や操作を覚える前に、整えておくべきことが3つあります。

① 契約書に回収頻度・面談頻度・遅延時の扱いを明記する

業務の波の入り口を塞がないかぎり、どんなツールを入れても計画通りには動きません。お客様との誠実な合意が、標準化の土台です。

② 工程表と各工程の「責任者・納期・次に進む条件」を定義する

誰が何をトリガーに動くかが決まっていないと、ツールの通知機能は宝の持ち腐れになります。仕事の流れを「設計」することで、確認の声かけが要らなくなります。

③ 最初の1〜2ヶ月の定着ルールを設計する

ツールは入れた瞬間に機能するものではなく、使われてから機能するものです。最初の負担をどう下げるかが、定着の鍵を握っています。

この3つが整ったとき、ツールは「管理のための監視装置」ではなく、事務所の未来を守るためのインフラに変わります。

職員さんの受け取り方も変わります。

「管理されている」ではなく「自分の仕事が守られている」という感覚に。

仕組みとツールを整えることは、先生が長く安心して組織を任せられる状態をつくることです。

職員さんが潰れず、お客様に迷惑をかけず、それでも事務所が成長できる。

そういう状態を、一緒につくっていけたらと思っています。

移行を検討されている先生がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。

「何のためにやるのか」から一緒に整理します。

今日も良い一日を!

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エクセルからFLOWへの移行支援、業務体制の整備サポートについては、お気軽にお声がけください。「うちの場合は何から始めるべきか」という相談から大歓迎です。

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